生体認証(Biometrics)とは、指紋や顔といった、体の特徴や動きのくせを使って本人かどうかを確かめる仕組みのことです。覚える必要も持ち歩く必要もない点が、大きな特徴です。
現実世界に例えると、生体認証は顔なじみの店で名乗らずに通してもらえる状態のようなものです。会員証を出す手間はありません。ただし、よく似た人が来たときにどう見分けるかという難しさは残ります。
主な種類
| 種類 | 使うもの | よく使われる場面 |
|---|---|---|
| 指紋 | 指先の紋様 | スマートフォン、入退室 |
| 顔 | 目鼻立ちの配置 | スマートフォン、空港 |
| 静脈 | 手のひらの血管 | 銀行のATM |
| 虹彩 | 瞳の模様 | 厳重な入退室管理 |
三つの要素のうちの一つ
認証の分類でいうと位置づけがはっきりします。「知っていること」「持っていること」「本人そのもの」という三つの要素のうち、三番目にあたります。他の二つと組み合わせることで、多要素認証が成り立ちます。
画像そのものは保存されない
誤解の多い点です。読み取った指紋や顔の画像をそのまま保管しているわけではなく、特徴を数値化したデータに変換して保存しています。この数値から元の画像を復元することはできない仕組みになっています。
端末の中で完結することが多い
安全面で重要な設計です。スマートフォンの指紋や顔の情報は、端末内の隔離された領域に保管され、外部へ送られません。サービス側が受け取るのは「本人だと確認できた」という結果だけです。漏えいの範囲を狭める工夫といえます。
誤りは二種類ある
性能を見るときの物差しです。本人なのに拒まれる誤りと、別人なのに通してしまう誤りがあります。判定を厳しくすれば後者は減りますが、前者が増えて使いにくくなります。用途に応じた釣り合いが求められます。
変更できないという弱点
最大の弱みがここです。パスワードは漏れたら変えられますが、指紋や顔は変えられません。一度その特徴が偽装可能な形で流出すれば、生涯にわたって使えなくなります。だからこそ、端末の外に出さない設計が重視されています。
使えない場面もある
日常での不便も知っておきましょう。手が濡れていると指紋が読めない、マスクや眼鏡で顔が通らない、けがをして登録した指が使えない。そのため、暗証番号など別の手段が必ず併用される作りになっています。生体認証だけで完結する仕組みは、まず作られません。
強制されうるという論点
あまり語られませんが重要な点です。パスワードは口を割らなければ使われませんが、指や顔は本人の意思に反して使われる余地があります。国や場面によっては、法的な扱いにも違いがあると指摘されています。端末を人に預ける場面では、この点を頭の隅に置いておくとよいでしょう。

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