IPマスカレード(IP Masquerade)とは、1つのグローバルIPアドレスを、ポート番号を使い分けることで複数の機器から共有できるようにする技術のことです。技術的には「NAPT(Network Address Port Translation)」と呼ばれる仕組みと同じもので、日本ではルーターの機能名として「IPマスカレード」という呼び方が広く使われています。
現実世界に例えると、1つの代表電話番号を、内線番号を使って複数の社員で共有するオフィスの電話システムのようなものです。外部から見える番号は1つだけですが、内線番号(ポート番号)によって「どの担当者宛ての通話か」を正しく振り分けることができます。
IPマスカレード 図解
IPマスカレードの仕組み
家庭内のパソコンやスマートフォンには、それぞれプライベートIPアドレスが割り当てられています。インターネットに接続する際、ルーターはこれらの機器の通信をまとめて1つのグローバルIPアドレスに変換します。このとき、どの機器からの通信かを区別するために、機器ごとに異なるポート番号を割り当てて管理します。この「IPアドレスとポート番号の組み合わせ」による変換が、IPマスカレードの核心部分です。
NAT・NAPTとの関係
IPアドレスだけを1対1で変換する仕組みは「NAT」と呼ばれますが、これでは1つのグローバルIPアドレスに1台の機器しか対応できません。ポート番号も合わせて使うことで、1つのグローバルIPアドレスを多数の機器で共有できるようにした方式が「NAPT」であり、IPマスカレードはこのNAPTの一般的な呼び名です。家庭用ルーターのほとんどは、このIPマスカレード機能を標準で備えています。
IPマスカレードのメリット
- アドレスの節約
限られたグローバルIPアドレスを、多数の家庭内機器で共有できます。 - セキュリティの向上
外部から内部の機器のプライベートIPアドレスが直接見えないため、不正アクセスへの一定の防御効果があります。
利用時の注意点
外部から内部の機器へ直接接続を開始できないという性質上、オンラインゲームの一部機能やファイル共有ソフトなど、外部からの接続を前提とするアプリケーションが正しく動作しない場合があります。この場合、特定のポート番号だけ通信を通す「ポート開放」という設定が必要になることがあります。設定を誤ると意図しない通信まで通してしまう恐れがあるため、必要な範囲に限定して行うことが大切です。ルーターの管理画面から設定できる機種が多く、対象の機器やアプリを確認したうえで慎重に設定します。
あわせて知っておきたい用語
- NAT:
プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを1対1で変換する仕組みです。 - プライベートIPアドレス:
家庭や社内など、限られた範囲でのみ使えるIPアドレスです。 - グローバルIPアドレス:
インターネット上で世界的に一意となるIPアドレスです。 - ポート番号:
通信の窓口を識別するために使われる番号です。


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