NAT(ナット)

NAT(ナット)とは、家庭や会社の中だけで通じるIPアドレス(プライベートIPアドレス)と、インターネットで通じるIPアドレス(グローバルIPアドレス)を相互に変換する仕組みのことです。正式には「Network Address Translation(ネットワークアドレス変換)」といい、主にルーターがこの役割を担います。

現実世界でいえば、会社の「代表電話と内線番号」のようなものです。社員それぞれに内線番号(プライベートIP)はありますが、外部との電話はすべて代表番号(グローバルIP)でやり取りし、交換手(ルーター)が「この応答はどの内線宛てか」を取り次ぎます。外から見えるのは代表番号だけなので、限りある電話番号を節約でき、内線の様子も外からは分かりません。

NATが必要な理由

インターネットで使えるIPv4のグローバルIPアドレスは約43億個しかなく、すべての機器に配るには足りません。そこで、家庭や社内の機器には自由に使えるプライベートIPアドレスを割り当てておき、インターネットに出るときだけ、ルーターが1つのグローバルIPアドレスに変換して代表でやり取りする——これがNATの基本的な役割です。

NATとNAPT(IPマスカレード)

厳密には、変換の方式によって呼び名が分かれます。

方式 特徴 電話に例えると
NAT IPアドレスを1対1で変換する。 専用番号への転送
NAPT
(IPマスカレード)
ポート番号も使い、1つのグローバルIPを多数の機器で共有する。家庭用ルーターの標準方式。 代表番号+内線での取り次ぎ

日常会話で「NAT」と言うとき、実際にはこのNAPTを指していることがほとんどです。

NATの利点と限界

NATにはアドレスの節約に加えて、外部から内部の機器へ直接アクセスできなくなるという、防御壁のような副次効果もあります。一方で、外部からの接続を前提とするアプリ(一部のゲームやファイル共有など)が動きにくくなることがあり、「ポート開放」という追加設定が必要になる場合があります。なお、アドレス枯渇の根本的な解決策としては、IPv6への移行が進んでいます。

あわせて知っておきたい用語

  • IPアドレス(IP Address)
    ネットワーク上の機器の住所。NATはこれを変換する仕組みです。
  • ルーター(Router)
    ネットワーク同士をつなぐ機器。家庭ではNATの実行役です。
  • IPv6
    アドレス枯渇を根本解決する新しい規格。NATに頼らない通信が可能です。
  • ポート番号(Port Number)
    通信の窓口を区別する番号。NAPTでの取り次ぎに使われます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました