アドレスプール(Address Pool)とは、機器へ自動で貸し出すために、あらかじめ用意しておくIPアドレスのまとまりのことです。ネットワークにつながった機器へその都度アドレスを配る際、どの範囲から配るかを決めておくのがこの仕組みにあたります。
現実世界に例えると、アドレスプールは貸し出し用の自転車が並んだ駐輪場のようなものです。来た人から順に空いている一台を渡し、返ってきたらまた次の人へ回します。並べてある台数が尽きれば、その後に来た人は借りられません。
手で決める場合との違い
| 項目 | 手で決める(固定) | プールから配る |
|---|---|---|
| 設定の手間 | 機器ごとに必要 | つなぐだけ |
| 重複の心配 | 人が管理する | 自動で避けられる |
| アドレス | いつも同じ | 変わることがある |
| 向く機器 | サーバーやプリンター | パソコンやスマホ |
DHCPと組みで使われる
アドレスプールは、それだけでは働きません。機器からの「アドレスをください」という求めを受け取り、プールの中から空いている一つを選んで返す役目を担うのがDHCPサーバーです。家庭ではルーターがこの役目を兼ねており、機器をつなぐだけで通信できるのは、この受け渡しが裏で動いているからです。
範囲はどう決めるか
設定するのは、始まりのアドレスと終わりのアドレス、あるいは開始位置と配る個数です。家庭用ルーターでは、末尾が2から100までといった形であらかじめ決められていることがほとんどです。ルーター自身が使うアドレスをプールに含めてはいけません。重なると通信が不安定になります。
借りている期間がある
貸し出されたアドレスは、その機器のものになるわけではありません。「リース期間」と呼ばれる有効期限が決められており、期限が近づくと機器の側から延長を申し入れます。使われなくなったアドレスは期限切れとともにプールへ戻され、別の機器へ回されていきます。
足りなくなると何が起きるか
プールの数を超えて機器がつながろうとすると、後から来た機器はアドレスを受け取れず、ネットワークにつながりません。来客の多い店舗などで「Wi-Fiにはつながるのに通信できない」という症状が出るときは、これが原因のことがあります。期間を短めにするか、範囲を広げることで対処します。
固定で使いたい機器はどうするか
プリンターやサーバーのように、いつも同じアドレスであってほしい機器もあります。やり方は二通りです。プールの外側のアドレスを機器へ直接設定するか、機器の固有番号とアドレスを結び付け、いつも同じものが渡るようDHCP側で予約しておく方法です。後者のほうが管理は楽になります。
社内やVPNでも同じ考え方
使われる場面は家庭の中だけではありません。会社のVPNに接続したとき、社内側のアドレスが一つ割り当てられるのも、その用途に用意されたプールから配られているからです。携帯電話の回線でも同じ考え方が使われており、接続するたびにアドレスが変わるのはこのためです。
範囲がぶつかると通信できない
意外に多い失敗がこれです。ルーターを二台つないだときなど、同じ範囲を配る機器が二つあると、同じアドレスが別々の機器に渡ってしまいます。急につながらなくなった、ときどき切れるといった症状の裏に、この重なりが潜んでいることがあります。配る役目は一台に絞るのが原則です。

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