MLO(エムエルオー/Multi-Link Operation)とは、Wi-Fi 7から導入された、複数の周波数帯を同時に使って通信する仕組みのことです。日本語では「マルチリンクオペレーション」と呼ばれ、Wi-Fi 7を象徴する中心的な機能として位置づけられています。
現実世界に例えると、MLOは複数の車線を同時に使える道路のようなものです。一本の車線が混雑していても、荷物を別の車線に振り分けて運べるため、全体としては滞りなく目的地へたどり着くことができます。
従来のWi-Fiとの違い
これまでのWi-Fiでは、2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯といった複数の周波数帯が使える環境であっても、端末が実際に接続できるのは、そのうちのひとつだけでした。電波の状況に応じて別の帯域へ切り替えることはできますが、切り替えの瞬間には通信が一度途切れてしまいます。MLOでは複数の帯域へ同時につながったまま通信できるため、この切り替えによる中断が起こりません。
MLOの二つの動作方式
| 方式 | 特徴 |
|---|---|
| STR | 複数の無線機を搭載し、異なる帯域で本当に同時に送受信する方式。性能は高いが、機器の構造は複雑になる |
| EMLSR | 一つの無線機が帯域を高速に切り替えて使う方式。同時通信ではないが、消費電力や製造コストを抑えられる |
現在市販されているスマートフォンやパソコンの多くは、EMLSR方式を採用しているとされています。同じ「MLO対応」であっても中身の方式は異なるため、期待できる速度の伸びには差が出ることがあります。
速度が向上する仕組み
STR方式では複数の帯域を束ねて同時にデータを流せるため、それぞれの帯域の通信量を合算した速度に近づけられる可能性があります。ただし実際の速度は電波環境や機器の性能に大きく左右されるため、単純に足し算どおりの数値になるわけではありません。
通信が途切れにくくなる理由
複数の経路を同時に確保しているため、ひとつの帯域が電子レンジなどの干渉を受けたり混雑したりしても、残りの帯域で通信を続けられます。これまでのように接続し直す必要がなく、利用者からは何事もなかったように見えるのが大きな利点です。
遅延の少なさが活きる場面
MLOは通信の待ち時間、いわゆる遅延を抑えることにも効果があります。オンラインゲームやビデオ会議、VR機器のように、わずかな遅れが体験の質に直結する用途で、その恩恵を感じやすい仕組みだといえます。
利用するために必要なもの
MLOを使うには、ルーター側と、スマートフォンやパソコンなどの端末側の両方がWi-Fi 7に対応している必要があります。どちらか一方だけが対応していても機能しません。また、Wi-Fi 7対応をうたう製品でも、MLOに対応していない場合がある点には注意が必要です。
設定時に気をつけたいこと
周波数帯ごとにネットワーク名(SSID)を分けて設定していると、MLOが働かないことがあります。複数の帯域をひとつのネットワークとしてまとめる設定にしておくのが基本です。機器によって設定項目の名前は異なるため、説明書を確認しておくと安心です。

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