MSX(エムエスエックス)とは、1983年にアスキーとマイクロソフトが提唱した、家庭用パソコンの統一規格のことです。異なるメーカーが製造した本体であっても、同じソフトウェアやハードウェアを使えるようにするという、当時としては画期的な「共通規格」の考え方を持ち込んだ点が最大の特徴です。
現実世界に例えると、乾電池の規格のようなものです。どのメーカーの乾電池でも、規格さえ合っていればどの機器にも使えるように、MSXという規格に対応してさえいれば、どのメーカーのパソコン本体でも同じソフトやカートリッジを使うことができました。
MSXが生まれた背景
1980年代初頭の日本では、メーカーごとに異なる規格のパソコンが乱立しており、あるメーカーのパソコン用に作られたソフトは、他社製のパソコンでは使えないのが当たり前でした。この状況に対し、規格を統一することでソフトや周辺機器の互換性を確保し、パソコン市場全体を広げようという狙いから、MSXという共通規格が提唱されました。
MSXの特徴
MSXの最大の特徴は、松下電器(現パナソニック)、ソニー、東芝、日立製作所など、多数の家電・電機メーカーがこの規格に賛同し、それぞれ自社ブランドのMSXパソコンを発売したことです。
- 互換性
異なるメーカーの本体同士でも、同じROMカートリッジのソフトが動作した。 - 統一されたBASIC言語
本体に標準搭載されたプログラミング言語も共通化されていた。 - ゲーム機としての側面
ROMカートリッジを差し替えるだけで手軽にゲームを楽しめた。
MSXのバージョン
MSXは発売後も改良が重ねられ、初代の「MSX」から、グラフィック性能などを強化した「MSX2」「MSX2+」、さらに高性能化した「MSXturboR」まで、複数の世代が展開されました。
MSXが与えた影響と現在
また、MSXは家庭用パソコンとしてだけでなく、ワープロソフトや表計算ソフトを使ったビジネス用途、学校教育でのプログラミング学習用途としても活用されており、幅広い層に親しまれた点も特徴のひとつです。
MSXは、共通規格によって多くのメーカーやソフトメーカーを巻き込み、家庭用パソコン・ゲーム市場を大きく盛り上げました。特に日本国内では、教育用途やビジネス用途でも利用され、規格が統一されていたことで、ソフトメーカー各社も安心して開発に参入できたことが普及を後押ししました。
生産自体は1990年代半ばに終了していますが、当時発売された名作ゲームや、規格を統一するという発想そのものは、現在でも往年のファンやレトロパソコン愛好家の間で語り継がれています。近年では、有志によるエミュレーターの開発も進み、当時のソフトを現代のパソコンで動かして楽しむこともできるようになっています。
あわせて知っておきたい用語
- ROMカートリッジ
ソフトウェアを記録した交換可能な記憶媒体です。 - BASIC
初期のパソコンで広く使われたプログラミング言語です。 - PC/AT互換機
後に世界標準となった、別系統のパソコンの設計規格です。 - ファミコン
同時期に普及した任天堂の家庭用ゲーム専用機です。

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