Perl(パール)とは、1987年にラリー・ウォール氏が公開したプログラミング言語です。文字列の加工とファイルの処理を得意とし、書いたその場で実行できる手軽さから、システム管理や集計処理の道具として長く使われてきました。
現実世界に例えると、Perlは刃も栓抜きもやすりも付いた十徳ナイフです。専用の道具ほど美しくはありませんが、手元にあれば大抵の用は足ります。「とりあえずこれで片づけてしまおう」と手が伸びる存在で、実際に多くの現場でその役目を担ってきました。
どんなことが得意か
| 用途 | 内容 | 得意さ |
|---|---|---|
| 文字列の加工 | 抜き出し、置換、整形 | 非常に得意 |
| ログの集計 | 大量の行を読んで数える | 得意 |
| システム管理 | 定型作業の自動化 | 得意 |
| 大規模な開発 | 長期間の保守を伴う開発 | 他の言語が選ばれやすい |
この偏りは設計思想の表れです。Perlは「文章のようなデータを手早く処理する」ことを中心に据えて作られました。その方向では今も強力ですが、万能を狙った言語ではありません。
生まれた背景
誕生の経緯を知ると性格が分かります。作者は業務でレポートを作る作業に追われており、既存の道具では足りない部分を埋めるために自作しました。当時よく使われていたコマンド群の便利な部分を集め、ひとつの言語としてまとめ直したのがPerlです。理論を突き詰めるより、目の前の仕事を早く終わらせることを優先した言語だといえます。
正規表現の強さ
Perlを語るうえで外せない特徴です。文字列の中から特定の並びを探し出す「正規表現」を言語の中心に据え、短い記述で複雑な検索や置換を書けるようにしました。この使い勝手が高く評価され、のちの多くの言語がPerlの書き方を手本にしています。今も「Perl互換の正規表現」という呼び方が、さまざまな環境で通用します。
ウェブの黎明期を支えた
広く知られたのはこの分野です。1990年代後半、ウェブサイトに掲示板やアクセス集計といった動きを持たせる仕組みは、その多くがPerlで書かれていました。サーバーに置くだけで動き、無償で配布された部品も豊富だったためです。個人サイトに欠かせなかったCGIという仕組みと、Perlはほぼ一体のものとして語られてきました。
やり方は一つではない
思想を表す有名な標語があります。同じ処理を書く方法は複数あってよい、という考え方で、書き手の好みや状況に合わせた表現が許されています。自由度が高く、慣れれば思考の速さで書ける反面、人によって書き方が大きく変わります。他人の書いたPerlは読みにくい、と言われるのはこの自由さの裏返しです。
CPANという蓄積
資産の厚みも特徴です。CPANと呼ばれる公開の保管庫には、長年にわたって蓄えられた膨大な部品が並んでおり、必要な機能はたいてい見つかります。他人の作った部品を取り寄せて組み合わせるという、現在では当たり前の開発スタイルを早い時期に確立した点で、後続の言語に大きな影響を与えました。
今のPerlはどうなっているか
現状も押さえておきましょう。実務で使われているのはPerl 5系で、今も更新が続いています。長く開発されていた次世代版は方向性の違いから独立し、Rakuという別の言語として歩んでいます。新しく大きなシステムを作る際にPerlが第一候補に挙がる機会は減りましたが、言語そのものが止まったわけではありません。
今でも動いている場所
目に触れにくいだけで、稼働は続いています。Linuxの内部で動く管理用の処理や、長年運用されてきた業務システム、ログを整形する小さな道具などにPerlは残っています。数行で書ける手軽さは今も代えがたく、サーバーに最初から入っていることが多い点も強みです。過去の言語と切り捨てるには、まだ現役の場面が多く残っています。

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