WPS(Wi-Fi Protected Setup)

WPS(Wi-Fi Protected Setup)とは、無線LANの接続設定をボタン操作やPINコードの入力だけで簡単に完了できる業界標準の規格のことです。Wi-Fiの普及団体であるWi-Fi Allianceが策定したもので、メーカーを問わず、対応する機器同士であれば利用できます。

現実世界に例えると、WPSはカードキーの登録機のようなものです。本来なら暗証番号を書き写して一字一句入力する必要がありますが、登録機にカードをかざせば鍵の情報がまとめて書き込まれ、すぐに扉を開けられるようになります。

WPS図解

WPS図解

WPSの仕組み

ルーター側でWPSを開始すると、ルーターは一定時間(一般に2分程度)だけ新しい機器の登録を受け付ける状態になります。その間に接続したい機器側でもWPSの操作を行うと、両者の間でSSID(ネットワーク名)と暗号化キーが自動的に受け渡され、接続設定が完了します。利用者がパスワードを目にすることも入力することもないため、入力ミスや設定漏れが起こりません。

接続方式の種類

方式 操作内容 現在の位置づけ
プッシュボタン方式
(PBC)
双方のWPSボタンを押す もっとも一般的で手軽
PINコード方式 8桁の番号を入力する 脆弱性があり非推奨
NFC方式 機器をかざして登録する 対応機器が少ない
USB方式 設定情報をUSBメモリで運ぶ ほとんど使われていない

家庭用ルーターでは、本体の「WPS」と書かれたボタンを長押しするプッシュボタン方式が中心です。メーカーによっては「かんたん接続」など別の名称で案内されている場合もあります。

メーカー独自機能との関係

国内メーカーは、WPSと同じ目的の独自機能を自社製品に搭載してきました。

名称 提供元 特徴
WPS Wi-Fi Alliance 業界標準。他社製品同士でも利用できる
AOSS バッファロー ボタン同時押しで自動設定
らくらく無線スタート NECプラットフォームズ NEC製ルーターの同様機能

これら独自機能を備えた製品の多くはWPSにも対応しているため、メーカーが異なる機器同士でも、WPSを使えば簡単に接続できます

WPSが生まれた背景

無線LANの設定は、本来「暗号化方式を選ぶ」「長く複雑なパスワードを一字一句手入力する」といった作業を伴うものでした。この手間を面倒に感じて暗号化をせずに使ってしまうと、通信内容を盗み見られたり、回線を無断で使われたりする危険があります。WPSは、こうした設定の手間を省きながら、暗号化された安全な状態で接続できるようにする目的で策定されました。

PINコード方式の弱点

PINコード方式には、8桁の番号を前半と後半に分けて検証するという仕様上の弱点があり、総当たりによって短時間で突破できることが指摘されました。このため現在では、PINコード方式を無効にし、プッシュボタン方式だけを使うことが推奨されています。機種によっては、あらかじめPINコード方式を無効にした状態で出荷されています。

利用時の注意点

WPSの待ち受け中は、ボタンを押した機器であれば接続できる状態になります。操作は必要なときだけ行い、接続が終わったら待ち受けを終了させることが大切です。また、WPSに対応していない機器では、従来どおりSSIDを選んでパスワードを手入力する必要があります。

あわせて知っておきたい用語

  • SSID
    無線LANのネットワークを識別するための名前です。
  • WPA
    無線LANの通信を暗号化して保護するための規格です。
  • AOSS
    バッファロー製ルーターに搭載された、ワンタッチ接続の独自機能です。
  • Wi-Fi
    電波を使ってネットワークに接続する無線LANの技術・規格です。
  • ルーター
    複数の機器をインターネットにつなぐ機器で、家庭用の多くはWPSに対応しています。

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