ルーティング(Routing)とは、データを目的地まで届けるために、どの経路を通すかを決める仕組みのことです。日本語では「経路制御」と呼ばれ、主にルーターが担います。
現実世界に例えると、ルーティングは荷物を仕分ける配送センターのようなものです。届いた荷物の宛先を見て「関東方面はこのトラック、関西方面はあちら」と次の行き先へ振り分けます。各センターが自分の担当範囲で判断を繰り返すことで、荷物は最終的に目的地へたどり着きます。
ルーティング図解
ルーティングテーブル
ルーターはルーティングテーブル(経路表)という一覧を持っており、届いたデータの宛先IPアドレスと照らし合わせて次の転送先を決めます。
| 宛先ネットワーク | 次の転送先 | 意味 |
|---|---|---|
| 192.168.1.0/24 | 直接接続 | 自分がつながっている範囲 |
| 10.0.0.0/8 | 192.168.1.254 | この先は隣のルーターへ渡す |
| 0.0.0.0/0 | 192.168.1.1 | どれにも当てはまらない場合の既定の経路 |
最後の行がデフォルトルートで、表に載っていない宛先はすべてここへ送られます。家庭用ルーターでは、インターネット側がこの役割を担っています。
経路の決め方
| 方式 | 内容 | 向いている規模 |
|---|---|---|
| 静的ルーティング | 管理者が手作業で経路を登録する | 小規模で構成が変わらない環境 |
| 動的ルーティング | ルーター同士が情報を交換し自動で経路を作る | 大規模、構成が変わる環境 |
動的ルーティングでは、ルーター同士がやり取りするためのルーティングプロトコルを使います。組織内ではOSPFやRIP、インターネット全体をつなぐ部分ではBGPが代表的です。回線が切れても自動で別の経路へ切り替えられる点が大きな利点です。
もっとも細かい経路が優先される
複数の経路が当てはまる場合、指定範囲がもっとも狭い(細かい)ものが選ばれます。「10.0.0.0/8」と「10.1.2.0/24」の両方が該当するなら、後者が使われます。宛先をより正確に示しているほうを信頼する、という考え方です。この動きを知っておくと、意図しない経路へ流れる原因を見つけやすくなります。
ルーティングとスイッチングの違い
よく似た言葉に「スイッチング」がありますが、扱う情報が異なります。スイッチングはMACアドレスをもとに同じネットワーク内で転送先を決め、ルーティングはIPアドレスをもとに異なるネットワークへ橋渡しします。両方の機能を持つ機器がL3スイッチです。
身近なところで働くルーティング
ルーティングは大規模なネットワークだけの話ではありません。家庭用ルーターも、宛先が自宅内かインターネットかを判断して振り分けている点で、立派にルーティングを行っています。VPNで社内へ接続したときに、どの通信を社内経由にしてどれを直接インターネットへ流すかも、経路の設定によって決まります。
確認と切り分け
通信できないときは、どこまで届いているかを順に確認します。経路をたどるコマンドを使えば、どのルーターで止まっているかが分かります。行きは届いていても、戻りの経路が設定されていないために通信できないというのも、よくある原因のひとつです。
あわせて知っておきたい用語
- ルーター:
異なるネットワークをつなぎ、ルーティングを行う機器です。 - IPアドレス:
ネットワーク上の機器を識別する番号。経路の判断に使われます。 - サブネットマスク:
どこまでがネットワーク部かを示す情報です。 - デフォルトゲートウェイ:
宛先が分からない通信の受け渡し先となる機器です。 - L3スイッチ:
スイッチングとルーティングの両方を行える機器です。


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