スループット(Throughput)

スループット(Throughput)とは、一定の時間内に実際に処理できたデータ量や仕事量のことです。ネットワークでは1秒間に実際に転送できたデータ量を指し、単位にはbps(ビット毎秒)が使われます。

現実世界に例えると、スループットは高速道路を1時間に実際に通過した車の台数です。設計上の車線数がいくら多くても、渋滞があれば実際に通れる台数は減ります。この「実際に通れた数」がスループットにあたります。

スループット図解

スループット図解

帯域幅・レイテンシとの違い

用語 意味 道路に例えると
帯域幅 理論上の最大値 道路の車線数
スループット 実際に出た値 実際に通れた台数
レイテンシ 1往復にかかる時間 端から端までの所要時間

「1Gbpsの回線なのに実測200Mbpsしか出ない」という状況は、帯域幅が1Gbps、スループットが200Mbpsという意味です。カタログ値は理論上の上限であり、実際の速度とは一致しません。

スループットが下がる原因

  • 回線の混雑
    利用者が集中する時間帯は、共有部分で取り合いになります。
  • 機器の性能不足
    ルーターやスイッチの処理能力が上限になっていることがあります。
  • 無線の電波状況
    距離や障害物、ほかの電波との干渉で低下します。
  • 相手側の制限
    接続先のサーバーが混んでいれば、こちらの回線が空いていても速くなりません。

レイテンシとの関係

帯域幅が十分でも、1往復あたりの遅延が大きいとスループットは伸びません。応答を待ってから次を送る通信では、待ち時間の分だけ効率が落ちるためです。海外のサーバーとのやり取りが遅く感じられるのは、この影響が強く出ているためです。「太い回線に替えても速くならない」ときは、遅延の側を疑うのが定石です。

改善のための考え方

打ち手 効果
CDNの利用 利用者に近い場所から配信し、遅延を減らす
キャッシュの活用 そもそも転送する量を減らす
負荷分散 処理を複数のサーバーへ振り分ける
データの軽量化 画像の圧縮などで転送量そのものを小さくする

上限を決めているのはどこか

通信は、経路上のさまざまな要素を順に通っていきます。そのためスループットは、経路のうちもっとも遅い箇所によって決まります。パソコン、無線の電波、宅内のルーター、回線、プロバイダ、相手側のサーバー――このどこか1か所が細ければ、ほかをいくら太くしても全体は速くなりません。改善を考えるときは、まずどこが一番の詰まりになっているかを見極めることが先決です。

測るときの注意

速度測定サイトの数値は、測定サーバーまでの経路や時間帯で大きく変わります。1回の測定で判断せず、時間帯を変えて複数回試すことが大切です。また有線と無線でも結果は変わるため、比べるときは条件をそろえます。

ネットワーク以外での使われ方

スループットという言葉は通信だけのものではありません。ストレージが1秒間に読み書きできた量や、システムが1時間に処理できた件数にも同じ考え方で使われます。いずれも「理論上の能力」ではなく「実際にさばけた量」を指す点は共通しています。

あわせて知っておきたい用語

  • イーサネット
    有線LANで広く使われる通信規格です。
  • Wi-Fi
    電波で接続する無線LANの規格。環境によって実測値が変わります。
  • ロードバランサー
    処理を複数のサーバーへ振り分ける機器・仕組みです。
  • キャッシュ
    一度使ったデータを手元に保存し、転送量を減らす仕組みです。
  • ping
    通信の応答時間を調べるコマンド。遅延の確認に使います。

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